そもそも「せど楽AI」とは
最初の動画で少し語りましたけど、僕は25年以上、AIの研究を続けています。
最後に、AI研究者の視点から、「せど楽AI」について語ろうと思います。
最近、シンギュラリティという言葉をよく耳にします。
シンギュラリティとは、「AIの知能向上によって、社会が急激に変化する転換点」とか説明されます。
これだけだと抽象的すぎて、何が変わるのかよくわかりません。
そこで、分かりやすいシンギュラリティの例として「せど楽AI」を取り上げます。
じつは、「せど楽AI」は、単なるせどりはツールでなく、時代の転換点を象徴するプロダクトなんです。
まずは、時代の大きな流れから考えます。
時代の流れはどんどん速くなっている気がしますよね。
たとえば、電気炊飯器が登場したのは1960年頃です。
その前はどうしてたかというと、かまどでご飯を炊いていました。
じゃぁ、かまどはいつ登場したかというと、なんと、平安、鎌倉時代です。
つまり、1000年ほど変わらなかった生活が、50年程前に変わったんです。
つまり、時代の流れが速くなってきたのは最近のことなんです。
電気が暮らしを大きく変えたわけです。
変化は、さらに加速しています。
たとえば情報です。
30年前は、電話は一家に一台でした。
毎朝、新聞を読んで、家族で同じテレビを見ていました。
今は、一人一台スマホをもって、スマホでYouTubeを見ています。
たった30年で、すっかり変わってしまいました。
これをグラフにしてみます。
横軸を時間、縦軸を技術進歩とすると、1000年ぐらい緩やかに上昇していたのが、この50年で、角度が急激に上がっています。
急上昇のきっかけは電気で、コンピュータや通信技術でさらに加速しました。
いわゆる情報革命です。
さて、シンギュラリティは、ここからさらに急上昇するそうです。
ただでさえ急上昇しているカーブが、さらに急上昇って、うまくイメージできません。
そこで、横軸を情報量に変えてみます。
情報量を横軸として、縦軸を暮らしの便利さとします。
500年ほど前に印刷機が発明されて、1940年代にコンピュータが登場して、1990年ごろからインターネットが普及して、2007年にiPhoneが発売されました。
その都度、人々が受け取る情報量が増えて便利になっていきます。
グラフにすると、緩やかな直線となります。
情報量の増加と暮らしの便利さは比例すると言えそうです。
そして、シンギュラリティは、そこからさらに急上昇するわけです。
こう考えると、シンギュラリティの意味が変わります。
それは、情報量があたりの暮らしの便利さが変わるということです。
言い方を変えると、情報量が増えるのでなくて、情報の質と密度が向上すると言えそうです。
これだけじゃ、まだピンとこないと思うので、これを、情報の歴史から説明します。
人類最初の情報発明は言葉です。
そこから、文字を発明して、さらに印刷機、コンピュータ、インターネットと情報発明は続きます。
これらの発明によって、一人が受け取る情報量が増加してきました。
爆発的に増加したのはコンピュータの発明以降です。
それまで、情報を処理するのは人間の脳でした。
ところが、コンピュータは、脳の外で情報処理をします。
長い情報の歴史において、ここで、情報処理が脳とコンピュータの二つに分岐したんです。
ただし、この二つには、決定的な違いがあります。
脳が解釈するのは意味です。
コンピュータが処理するのは、意味でなく、データです。
たとえばコンピュータは、犬の写真と、「イヌ」という文字は全く別のデータです。
これが意味を理解しないということです。
一方、脳は、意味が同じものをつなげます。
たとえば、ある人の脳からトム・クルーズに反応するニューロンが見つかりました。
そのニューロンは、トム・クルーズの写真を見たとき活性化します。
正面の顔写真でも横顔でも反応します。
それだけじゃなくて、「トム・クルーズ」という文字にも反応します。
これが意味を理解する脳の情報処理です。
さて、ここで、せどりについて考えます。
電脳せどりというのは、複数のネットショップから、差額のある商品を探すという一種の情報処理です。
一見、コンピュータの得意な仕事に見えますけど、実は、そうじゃありません。
差額を計算するだけならコンピュータにできます。
難しいのは、Aショップの商品と、Bショップの商品が同じかどうか判断することです。
なぜかというと、コンピュータにできるのは、同じデータかどうかだけです。
だから、JANコードが一致するとか、商品名が一致するとかって判断ならできます。
でも、同じ商品でも、「iPhone」と「アイフォン」書き方が変わるだけで別と判断します。
これが、脳とコンピュータの情報処理の違いです。
同じものでも、様々に表現されます。
それを、同じものを指すとわかるのが脳の情報処理です。
これが、意味を使った情報処理です。
一方、コンピュータが扱うのは、文字とか記号といった表面的なデータです。
そのデータが何を意味するのかは理解できません。
これが、脳とコンピュータの情報処理の違いです。
そこに登場したのがLLM(大規模言語モデル)です。
LLMは、意味から考えて同じかどうか判断できます。
だから商品名が厳密に同じでなくても、人間と同じように意味から考えることができます。
だから、「iPhone」と「アイフォン」を同じと判断できます。
さらに画像も学習しています。
つまり、iPhoneの写真とiPhoneの文字を結び付けて学習しているんです。
画像と、それに関連する文字列を結び付けて学習するとは、トム・クルーズ細胞と同じですよね。
つまり、LLMは脳と同じように意味で情報を結びつけるんです。
コンピュータの登場で、情報処理が脳だけでなく、コンピュータでもできるようになりました。
時代が急激に進歩したのは、脳の外で情報処理ができるようになったからです。
データをコンピュータを使って結びつけたわけです。
さらにコンピュータ同士が結びつくインターネットによって、人が受け取る情報量が飛躍的に増えました。
これによって、この50年で生活が格段に便利になりました。
これが情報革命とかIT革命です。
ただ、コンピュータと人間の脳の処理方法は異なります。
コンピュータは、意味でデータをつなげることができません。
それが、LLMは脳と同じ情報処理をするんです。
意味単位で情報をつなげるんです。
つまり、情報処理の質や密度が変わったんです。
これによって、情報量が同じでも、急激な技術進歩が起こります。
これが、シンギュラリティです。
シンギュラリティの本質がわかりましたよね。
それは、情報のつながりが変わることです。
LLMは、脳が扱うデータをコンピュータネットワークでつなげるんです。
つまり、今まで脳でしかつながらなかったデータが、インターネットを介して世界につながるんです。
そりゃ、とんでもないことが起こりますよ。
インターネットの比じゃ、ありません。
今、僕らは、インターネットの登場と同じ局面にいます。
じゃぁ、それで、何ができるんでしょう?
その一例が、「せど楽AI」です。
「せど楽AI」がやったことは、人間しかできなかった商品の一致判定をコンピュータでできるようになったってことです。
もっといえば、人間の脳でしかつながらなかった二つの商品を、コンピュータでつなげることができるようになったんです。
そのおかげで、電脳せどりの仕入れ作業がコンピュータにできるようになったんです。
ただ、これはほんの一例です。
インターネットが出始めたころ、インターネット=ホームページでした。
Googleがそれらをつなげたことで、一気に便利になりました。
Googleが何をしたかというと、価値のある順にサイトを並べたんです。
その時使ったのが被リンク数です。
価値のあるサイトほど、多くのサイトからリンクを張られているということです。
SNSも同じです。
YouTubeは、再生回数、再生時間で動画の価値を測定します。
その他のSNSも同じです。
測定したいのは価値という一種の意味です。
ただ、直接価値を測定できないから、コンピュータが扱えるデータで測定したわけです。
それがアルゴリズムです。
だから、アルゴリズムが変わるだけで、アクセス数がガラッと変わります。
これが、意味を扱えない今までの情報処理の世界です。
それが、今後は、意味を使って直接、情報の価値を判断できるようになります。
たとえば、価値は絶対的なものでなく、ある人にとっては価値があって、ある人にとっては価値がないということはよくあります。
となると、その人に必要な情報だけ提供することが可能になります。
そうなると、何が起こるでしょう?
商品ページを見ている人に応じて書き換えるかもしれません。
たとえば、みんなと同じがいいと思っている人には、「みんなこの商品を使っていますよ」と表現して、人と違うのがいいと思っている人には、「この商品は、まだ、誰も使っていませんよ」と表現するかもしれません。
その人の好みはSNSから読み取って、生成AIがその場でサイトを生成するんです。
それから、リアルタイムで翻訳するイヤホン型翻訳システムはすでにあります。
それがさらに発展して、相手の言っていることを、AIが上手く変換してくれるようになるかもしれません。
難しい言葉を分かりやすく言い直してくれたり、言葉のとげを抜いて、その人を傷つけないように言い換えたりしてくれたり。
また、高精度なAIグラスはすでにあります。
AIグラスを使えば、その人に応じた光景をAIが見せるかもしれません。
たとえば、女性の顔は、その人の好みに合わせてすべて補正します。
そうしたら、美女に囲まれて暮らせるわけです。
一人ひとり、見ている世界が異なるわけです。
ねぇ、とんでもない世界になるでしょ。
これがシンギュラリティです。
おそらく、数年後、世界は大きく変わっているでしょう。
変わるというか、大混乱の真っただ中にいるでしょう。
みんな、いったい、何が起こっているんだって思うでしょう。
そんな時、この話を思い出してほしいんです。
AIが直接意味を扱うようになったんだと。
この視点を持っていれば、次の時代も生き残れるでしょう。
そして、シンギュラリティの最初の小さなプロダクト。
それが、せど楽AIです。